東芝は7日、会計不祥事で遅れていた2015年3月期連結決算と09年3月期から14年4~12月期までの決算訂正を発表した。過去の決算の利益減額は合計2248億円。税金費用の再計算を反映した最終損益で計1552億円悪化し、収益力の弱さを露呈した。不祥事の影響額の確定とあわせ、取締役会議長に資生堂相談役の前田新造氏を起用する新体制も発表。ようやく再生のスタートラインに立つ。
過去の決算訂正額は8月18日に公表した概算から、さらに118億円増えた。最近になって判明した米子会社での工事損失先送りなどの影響を織り込んだ結果だ。
また例年なら5月上旬に発表している前期決算は4カ月遅れた。有価証券報告書の提出も本来の期限の6月末から8月末に延長し、さらに1週間延ばした。
前期の最終損益は378億円の赤字で、当初予想(1200億円の黒字、5月に撤回)と比べて大幅に悪化した。米原子力発電プロジェクトや白物家電などの損失が膨らみ、繰り延べ税金資産の取り崩しで会計上の税金費用も増えた。
不祥事の期間を含む7年間で最終赤字は、09年3月期(3988億円)と10年3月期(539億円)をあわせて3回。最終損益の合計も約2555億円の赤字に落ち込んだ。
同日、取締役会の要となる議長に、社外取締役として招く資生堂相談役の前田新造氏(68)をあてるなどの経営体制も発表した。取締役候補は社外が7人で社内は4人。執行への監督・監視機能を高める。
新任の社内取締役として綱川智・執行役上席常務(59)と平田政善・東芝テック取締役(56)を起用し、室町正志社長(65)と牛尾文昭取締役(57)は留任する。9月30日の臨時株主総会で諮る。
同日夕、室町社長らが記者会見し、決算や新体制、不祥事の再発防止策などを説明する。