【ウィーン=共同】国際原子力機関(IAEA)の年次総会が14日、ウィーンで始まった。日程は5日間。IAEAは、2011年3月の東京電力福島第1原発事故を総括する最終報告書を提出、日本からは原子力委員会の岡芳明委員長が政府代表として出席。
最終報告書は福島第1原発事故の原因や被害の分析のほか、世界の原発の安全強化に向けた提言などを記載。IAEAは17日に総会とは別に報告書の説明会を開き、各国政府代表団などが議論、同事故の国際的な検証は大きな節目を迎える。
報告書は200ページ余りの要約版と計千ページを超える5部の詳細な技術報告書から成る。当時、日本で広がっていた「原発は安全」との思い込みが事故の主因と分析。東電や日本の規制当局が巨大な津波の発生の危険を認識していたにもかかわらず、実効性ある対策を取らなかったと批判している。
IAEAは事故を受け、11年9月に承認した原発安全強化への「行動計画」の実施状況に関する最後の年次報告書も総会に提出。フローリー事務次長は「(停電時に使う)ディーゼル発電機の浸水対策などの安全強化策が取られ、安全文化に対する理解が深まった」と成果を強調している。
総会では北朝鮮の核問題や、アラブ諸国によるイスラエルへの核拡散防止条約(NPT)加盟などの要求も議論される。