沖縄県は17日、今後の県の成長戦略となる「アジア経済戦略構想」をまとめた。国際物流拠点の機能強化や基幹産業である観光業をさらに強化するための空港や港のインフラ整備など、5つの重点戦略を柱に据えた。高い経済成長が期待され、地理的に沖縄と近いアジアの活力を取り込む狙いがある。県は2016年度予算で同構想の具体化を進める考えだ。
アジア経済戦略構想は昨年12月に就任した翁長雄志知事の公約の一つ。2月に同構想の策定委員会の初会合を開き、議論を続けてきた。富川盛武会長(沖縄国際大教授)は17日、県庁で翁長氏に報告書を手渡した。翁長氏は「スピード感を持って事業化する。今後5年程度で揺るぎないものにしたい」と述べた。
構想は国際物流拠点の形成、世界水準の観光リゾートの実現、ものづくり産業の推進など5つの重点戦略を掲げた。重点戦略を実現するため、県には新たな支援体制の構築や規制緩和を求めた。
具体的には、海外展開を検討する企業を支援する「ビジネス・コンシェルジュ」の設置、グローバル人材を育てるための研修制度の充実を要望。インフラ面では、那覇空港を中心とした物流拠点機能を強化するため、隣接する米軍の那覇軍港や自衛隊駐屯地の活用を求めた。構想の進捗状況を点検する外部組織の設置も提案した。