大阪市教職員組合の教育研究集会に市立小学校を使わせなかったのは違法として、市教組が市に約620万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が13日、大阪高裁であった。角隆博裁判長は一審・大阪地裁判決に続き、組合活動への便宜供与を禁じた市条例に基づく使用不許可処分について「一律の禁止は裁量権の逸脱で違法」とする判断を示した。
賠償責任は「不許可処分を決めた校長が、便宜供与を一律禁止と解釈したのも無理はない」と指摘。一審判決のうち、校長の過失を認めて市に約40万円の支払いを命じた部分を取り消し、市教組の請求を退けた。
判決によると、市教組は約40年前から年1回、教職員が教育内容を報告し討議する場として教研集会を市立校で開催。2012年、13年も、市立小2校の会場としての使用を求めたが、市側は橋下徹市長の主導で12年7月に制定された市労使関係条例を根拠に許可しなかった。
判決理由で角裁判長は、条例の規定について「便宜供与を一律禁じるものではなく、(市側で使用の可否を判断する立場にあった)校長は健全な労使関係を害する便宜供与かどうかを考慮すべきだ」と指摘。「教研集会は学校施設を利用する必要性が高く、使用を認めても学校運営上の支障が出る恐れもなかった」と判断した。
一方、市が条例施行後、各校に対し、組合に学校施設の使用許可を出さないよう通知していた点などを考慮。校長に「国家賠償法上の違法や過失は認められない」として賠償請求は退けた。
昨年11月の一審判決は、条例を適用し不許可とした市の処分を「職員らの団結権を保障した憲法に違反する」としていたが、二審判決は「直ちに違憲とはいえない」と言及するにとどめた。
判決後、市教組の稲田幸良執行委員長は「学校で集会を開くことを認めるよう市に求めていきたい」と述べた。市教育委員会の山本晋次教育長は「今後とも適切な学校運営に努めたい」とのコメントを出した。