愛媛県の中村時広知事は26日、四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県)を再稼働させることに同意した。四国電は年明け以降に再稼働を開始したい考えで、新しい規制基準の下では九州電力川内原発(鹿児島県)に次ぐ2番手になる可能性が高い。先に再稼働した川内原発は手続きに時間を要しており、伊方3号機の具体的な稼働時期は見通しづらい。
中村知事は26日午後、都内で林幹雄経済産業相や清水康弘原子力規制庁長官らと会談し、再稼働に同意したことを報告した。経産相は「国民や地元に対して誠意をもって粘り強く理解を求めていかなければならない」と応じた。政府は11月上旬に伊方原発で事故を想定した防災訓練を行い、住民が円滑に避難できるかどうかを検証する。
中村知事は同日、愛媛県内で記者団に「現実的でない代替エネルギーの比率を高めていけば、電気料金は上がる。雇用や経済活力の喪失につながる」と述べ、再稼働の同意に理解を求めた。
今後、伊方原発3号機は原子力規制委員会の最終チェックを受けることになる。規制委の担当者が現地で設備の安全性を確認する「使用前検査」と呼ばれる手続きで、前提として規制委から「工事計画」の認可を受ける必要がある。
規制委の安全審査に合格した3原発の5基のうち、地元から同意を得ていないのは関西電力高浜3、4号機(福井県)のみになった。ただ高浜原発は福井地裁から運転差し止めの仮処分を受けているため、司法判断が覆らない限りは再稼働できない状態だ。