2016年3月に開業する北海道新幹線の乗車率が3割程度との試算を北海道旅客鉄道(JR北海道)が出したことを受け、道内ではさらなる利用促進策が大きな課題として浮上した。乗車率は観光など経済波及効果を大きく左右する。経済的つながりの深化が期待できる東北や北関東などからの来道者の取り込み策が北海道の地方創生には待ったなしとなる。
同社の島田修社長は函館市内で26日、北海道新幹線の利用を最低でも1日当たり5000人程度を目指すとの考えを示した。計画するダイヤでは1日に最大1万9006人が移動できる。ほぼ1年先行して開業した北陸新幹線は10月末までの高崎―軽井沢間の上下線の乗車率が62%だった。
北海道新幹線はビジネスより観光での利用が多いと予想される。函館ホテル旅館協同組合の遠藤浩司理事長は「東北新幹線の盛岡―新青森間の乗客数をベースに計算したとすると、道内での乗車率が低くても不思議ではない」と指摘。道内経済界からは「JR北海道は固く試算している。函館の宿泊施設などは満杯になるはず」(北海道商工会議所連合会の高向巌会頭)との声が出た。
移動時間の短縮効果が大きい地域からの利用の取り込みが欠かせない。北海道庁は「詳細は把握していない」としたうえで、「開業後も利用促進に向けてターゲットとなる東北や関東でのPRを続けていきたい」(新幹線推進室)としている。