【ブリュッセル=森本学】欧州委員会は26日、欧州連合(EU)加盟28カ国の経済不均衡を分析した年次報告書を公表した。ユーロ圏が低成長を脱するため、経常黒字大国のドイツとオランダに対して投資の拡大を求めた。一方、財政悪化が目立つイタリアとフランスには構造改革の加速を訴えた。
欧州委は高水準の経常黒字が恒常化することは「間違った資源配分を示唆している」と指摘。ユーロ圏の低成長を長引かせる懸念があると批判した。ドイツは2016年の経常黒字の国内総生産(GDP)に対する比率が8.6%、オランダも同10%超の高水準が続く見通しだ。
一方、構造改革を求めたイタリアの15年の公的債務残高はGDP比で約130%とEU内ではギリシャに次ぐ規模に膨らむ見込み。フランスも17年に97%超に上昇する見通しで、いずれもEUが加盟国に求める「60%以下」を大幅に超えているのが現状だ。
欧州委は年1回、「警告メカニズム報告書」をまとめ、EU加盟国の経常収支や官民の債務の水準を点検し、問題がある場合は改善を求めている。EU域内の経済・財政政策の協調を図り、各国の予算編成などに反映させる狙いがある。