日本鉄鋼連盟(鉄連)は16日、2016年度の粗鋼生産について1億500~600万トンを見込む15年度並みの水準となる見通しだと発表した。中国の輸出増により世界的な需給の緩和が続く中で「外需の下振れリスクに留意が必要な状況」だとしている。輸出は15年中ごろ以降の低い水準が続き前年度を下回るほか、輸入も引き続き高い水準が続くことを見込む。
内需については公共投資が減るものの、全体では増加するとの見通しを示した。消費税再増税前に住宅投資や自動車、家電などの駆け込み需要が見込まれるほか、非住宅でも企業による設備投資の拡大やオリンピック関係での都市再開発などから持ち直しが期待できるという。
同日午後に記者会見した柿木厚司会長(JFEスチール社長)は、今後の見通しについて、中国の鉄鋼企業で15年7~9月期に赤字計上が相次いだほか、人員削減も進んでいるとの一部報道を踏まえ「今のままの輸出価格、輸出量を中国が続けることは無理」との認識を語った。その上で、その是正について「時間軸が問題だ」とし、現時点でもなお先行き不透明なことに懸念を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕