結婚の際に夫婦別姓を認めず、同姓にすることを義務付けている民法の規定が憲法に違反するかどうかが争われた訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は16日、同規定を合憲とする初の判決を言い渡した。国に対する賠償請求も退けた。
民法750条は「夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を称する」と定め、夫婦同姓を義務付けている。原告の男女5人は、結婚後に姓を変えているのは96%が女性であることから「女性への間接差別に当たり、法の下の平等を定めた憲法に違反する」などと主張。国に計600万円の損害賠償を求めていた。
一審・東京地裁判決は2013年、「夫婦別姓は憲法で保障された権利とはいえない」として訴えを退け、二審・東京高裁判決も同判断を支持。原告側が上告していた。
夫婦別姓を巡っては、法制審議会(法相の諮問機関)が1996年、結婚の際に夫婦同姓か別姓かを選べるようにする「選択的夫婦別姓制度」を導入すべきだと答申。しかし「親と子で姓が異なることになるのは子供にとって好ましくない」などの反対論も多く、法改正はされていない。