昨年10月12日の体育の日、普段はトップ選手しか利用できないナショナルトレーニングセンターの食堂で試食イベントが行われ、入江陵介が子どもたちと一緒に食卓を囲んだ
競泳選手もマラソン選手も、五輪選手は食事量が少なくては勝負にならない。レースでベストのパフォーマンスを発揮して、少しでもタイムを縮めるため、「食」にも細心の注意を払っている。
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世界王者は、腹ぺこだった。
競泳男子の瀬戸大也(21)は2月末、競技会でタイムを出せないでいた。「体がきつく、疲れも抜けない。まだそんな年齢じゃないと思うんだけど……」
栄養士に相談すると、1日に4500キロカロリーの摂取が必要な練習量なのに、3500キロカロリーしかとっていないのが分かった。思い返せば、世界選手権の400メートル個人メドレーを制した昨夏よりも体重が増えたことが気になり、食事の量を減らしていた。
「デブエット」
男子背泳ぎの入江陵介(26)は、昨秋に始めた取り組みをこう呼ぶ。茶わん1杯分を食べるのがやっとだった白米を、いまでは山盛りによそう。練習前にはパンや餅を口に運ぶ。
食が細く、レースが続くとすぐに4キロほど痩せてしまう。高強度の負荷に耐えられる体をつくるために取り組んだのが増量だった。
女子マラソンの福士加代子(34)も小食で、「米は『柿の種』さえ食べて補えばいいと思ってた」と、食への関心も低かった。