京都市内を見渡せるラウンジ=京都市中京区の「THE PRIME POD京都」
京都市内で「高級カプセルホテル」の開業が相次いでいる。終電を逃した人が一晩を過ごす、狭くて暗いイメージは昔のもの。内装や快適性にこだわり、女性や外国人観光客を主なターゲットにする。観光客の増加でホテル不足や宿泊費の高騰が続くなか、手頃な価格で人気を集めつつある。
■177センチでも余裕
飲食店がひしめく京都市中京区の繁華街。15日にオープンした「THE PRIME POD 京都」を訪ねた。
ベッド付きの個室が上下に分かれてずらりと並ぶ。下段のベッドに横たわると、身長177センチの記者でも余裕のある広さだ。高機能マットレスやアメニティーグッズ、木目を生かした壁など、寝具や内装にもこだわる。芸舞妓(げいまいこ)が行き交う花街・先斗(ぽんと)町に近く、京の五山を見渡せるロビーからの眺望も売りだ。
商業ビルの最上階から4フロア分を使ったホテルは全150室。若い女性客の利用も意識して、各階は男女別。標準的な部屋は1泊5千円前後だ。ホテルのリーダー、地引孝夫さんは「若い女性は街めぐりやイベントにお金を使うため、宿泊費は抑えたい人が多い」。東京・銀座の歌舞伎座前に昨年10月オープンした系列ホテルは、連日満室が続いているという。
京都で「新型ホテル」の先駆けになったのは、2009年末に開業した「ナインアワーズ京都」(125室)。近未来的な内外装が特徴で、1泊2千~3千円。外国人観光客に根強い人気がある。
東京や大阪など10カ所で展開するファーストキャビンも10年3月、四条烏丸の繁華街に近い下京区に121室のホテルをオープン。年間稼働率は約9割という。1泊3千~5千円。広報担当者は「既存の建物を改装し、初期投資を抑えた。ビジネスホテルと従来のカプセルホテルの中間価格帯を狙った」と語る。来年3月には、京福電鉄(嵐電)嵐山駅の駅ビルに、大半が女性専用の100室規模のホテルを開く予定だ。
昨年12月には、大浴場を備えた188室の新型カプセルホテルが世界遺産・二条城近くに開業。今春には阪急西院駅近くにも82室のホテルが開業する。
利用客の反応も上々だ。
米国から来たビビアン・チェンさん(27)は、ナインアワーズ京都をネットで予約。「宇宙船のようなベッドの写真を見て決めた」と話す。長崎県波佐見町の女性(32)の決め手は「安いのに清潔だった」。浮いたお金で京野菜料理を楽しんだという。豪州から訪れたクレア・ミュラーさん(20)は「ロッカーもあって安全。京都の伝統料理に思い切りお金を使いたい」と満足そうだった。