着物でフラダンスを踊る福島県のいわき湯本温泉協会のおかみたち=東京・新橋、関田航撮影
東日本大震災の被害や原発事故の風評被害に苦しむ福島の温泉地が、旅行サイトで昨年、次々と人気上位にランクインした。客足を取り戻すための様々な工夫が実を結び始めている。
特集:3.11 震災・復興
4月21日、東京のJR新橋駅前で、福島県のいわき湯本温泉の旅館の女将(おかみ)たちが着物姿でフラダンスを踊った。集まった人たちに「5年前、休業に追い込まれ、明日どうなるかわからずに毎日泣いていました。今、笑顔で前に進み始めています。熊本のみなさんにもその日は来ます」と語りかけた。
昨年から、都内の駅前や県内外のイベントで女将が踊る、「フラ女将プロジェクト」に取り組む。着物に合わせた緩やかな振り付けが人気を呼び、問い合わせも増えている。2015年の楽天トラベル年間人気温泉地ランキングで、いわき湯本温泉は14位(14年20位)に輝いた。
いわき湯本温泉は、事故直後から廃炉作業に携わる作業員らを受け入れてきた。旅館「岩惣(いわそう)」は11年12月まで貸し切り。翌月から一般客も受け入れたが、「福島のために働く人が泊まる宿でのんびり温泉に入るのは気が引ける」と客足は戻らなかった。今も宿泊客は事故前の6割ほどだ。