動画では神社の被害状況とともに、復旧にかかる年月なども字幕で紹介した=中島さん提供
熊本地震で国の重要文化財の楼門が倒壊した阿蘇神社(熊本県阿蘇市)の復興を支援しようと、地元有志らが動画を作った。神社の現状や、地域住民の神社への思いを紹介している。動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信され、1回の視聴で0・1円程度が神社に寄付されるという。
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阿蘇神社は日本三大楼門でもある楼門や神殿などの計7棟が壊れた。文化財に指定されていない拝殿の再建費用は、全額を神社が負担しなければならない。再建するには10年、約20億円かかる見込みとされる。
動画は阿蘇市出身で、都内で映像制作の仕事をしていた中島昌彦さん(34)らが手がけた。中島さんは地震前の4月初旬、仕事を辞めて帰郷。本震のあった4月16日午後、阿蘇神社を訪れ、言葉を失った。灯籠(とうろう)は倒れ、楼門や拝殿の木材は周囲に散乱。周りにはぼうぜんと立ちすくみ、涙を流している人もいたという。
七五三に夏祭り、正月には毎年、家族と初詣に訪れた。2年ほど前には神前結婚式も挙げた。神社は地元のシンボルで、自分の思い出の中にいつもある「身近な存在」だという。
そんな中、友人から「なぜ阿蘇神社が大事なのか分からない」という話を聞いた。「神社が地域にどう根付いているのか、生の声を届けたい」と考え、5月上旬、後輩らと一緒に3人で動画を作り始めた。