長時間のパソコン作業で、つい猫背になっていませんか。意識して背筋を伸ばしても、気づけばまた元通りの姿勢に。ふだんの生活で取り組める対策を探りました。

「にゃー」。パソコンのスピーカーから可愛い猫の鳴き声が響いた。画面上部には小さな猫のイラストと「Ｎｅｋｏｚｅ！」という文字が表示された。

猫背チェックの無料アプリ「Ｎｅｋｏｚｅ」は、Ｍａｃのパソコン（ＯＳ Ｘ １０・７以降）用で内蔵カメラを活用。猫背になって顔の位置が下がったり、画面に近づいたりすると、音声と文字で注意してくれる。

一度は背筋を正しても、再び猫背になってしまうと、「にゃー」。姿勢を意識する習慣は身につきそうだ。

そもそも猫背とは、どんな状態なのか。背骨の治療を専門にする整形外科医で独協医科大の野原裕名誉教授（６７）によると、大人の正常な背骨の形は首と腰の部分がやや前に、胸の部分が少し後ろに曲がり、ゆるやかなＳ字を描く。一方、猫背は胸の部分が深く曲がっている。人の体は全体で重心のバランスを保とうとするため、腹が前に出るなどして、さらに姿勢が悪くなる。

原因は人それぞれだが、野原さんは「長時間のパソコンや、下を向いて手元のスマートフォンを見続けることも要因の一つ」と話す。放っておくと、食道や胃が圧迫され、機能が悪くなるおそれもあるという。