設置したばかりの耐震シェルターでくつろぐ外山登さんと一枝さん夫婦。出入り口は4カ所あって風も通る。電球や時計もつけた=愛知県豊明市
熊本地震では家屋の倒壊で37人が亡くなった。住宅の耐震化は重要だが、改修には費用がかさみ、特に高齢者世帯はためらいがちだ。比較的安価な対策として、家が倒壊しても命だけは守るとうたった耐震シェルターに注目が集まっている。
「妻が地震が怖いって言ってね」。愛知県豊明市の外山登さん(81)は4月末、1階6畳の寝室にシェルターを設置した。「新しい家に入っているみたい」と妻、一枝さん(80)にも好評だ。
プレハブ2階建ての自宅は築40年。一枝さんは昨年、脳出血で倒れ、自宅療養が続き、日中1人になる時が心配だった。熊本地震で家屋が倒壊する様子を見て「何とかせないかん」と決意。だが、重い瓦屋根の張り替えの見積もりを取ると、数百万円もした。
そんな時、インターネットで見つけたのが、寝室だけを補強する耐震シェルターだった。設置費込みで38万円、床を張り替えても70万円台で収まる。「年金生活でも何とかなる金額」と外山さん。「1年でも2年でも長く2人で生きていくのが一番の願い」と話す。
外山家が設置したシェルター「剛健」は愛知県岩倉市の金具メーカー、宮田鉄工が開発した。ベッドが2台置ける6・4平方メートルの木造の「箱」で、設置工事は1日でできる。