参考記録ながら大会最多タイ記録の23三振を奪った幕張総合の神保航介=長生の森
(18日、千葉大会 旭農3―1幕張総合)
千葉大会の情報はこちら
動画もニュースも「バーチャル高校野球」
幕張総合のエース神保航介(3年)が23三振を奪い、延長戦の参考記録としては1968年大会以来48年ぶりのタイとなった。だが、試合後に流したのは、うれし涙ではなかった。
試合は延長十三回まで全く違うタイプの両エースが投げ合った。旭農の神成田(かなだ)拓海(2年)の直球は120キロ前半ほど。「計測できない」と自分でいうほどのスローカーブで緩急を使い分ける。打たせて取るピッチングで凡打やフライを積み重ねた。一方で、神保はグローブを大きく前に突き出す独特のフォームから、140キロ近い速球を繰り出し、奪三振の山を築いた。
「もともと速い球を投げられる投手ではなかった」と幕張総合の千葉克司監督。監督の用意した練習にも当初はついていけなかった。それでも30メートル走を日々50本こなすなど、下半身を強化し続けた。軸足を踏み込む勢いが徐々に増し、球速が20キロ以上伸びた。
だが、自信のあった速球は延長に入って陰りが見え始めた。旭農打線が食らいつき、ファウルで粘り始めた。迎えた延長十三回表。ここまで投げた球数は163球。先頭打者に右翼線へ二塁打を打たれると、後続には二つの四球を与えるなどして二死満塁に。
打席には、この日三振していない宇野沢裕介(3年)。神保は渾身(こんしん)の速球で勝負した。が、打球は前進守備をしていた遊撃手の横を抜け、2点適時打に。「押し出しを恐れて甘く入った」と悔やんだ。
終了後、「チームが勝たなくては」と、帽子で隠した顔から大粒の涙をこぼした。「後輩には、一回でも負けたら終わりなのが高校野球だと伝えたい」。その言葉には187球を投げ抜いた重みがあった。=長生の森(藤井宏太)