豊田章男社長=8月26日、千葉県袖ケ浦市
いま、自動車産業は変化のうねりのなかにあります。AI(人工知能)などITの技術革新で、「自動運転」の開発が急速に進み、グーグルなどIT企業も、この分野に割って入ろうとしています。トヨタ自動車はどう変わろうとしているのか。豊田章男社長に聞きました。
トヨタ、AI研究へドリームチーム 創業の原点に回帰
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――世界最大の自動車メーカーをどう変えるか。
「社長になって意識しているのは『意志ある経営』ということです。三つの意志があります。一つが『もっといいクルマをつくろう』という意志、もう一つはトヨタが持続的成長をしていくために将来の種まきを意志をもってやること。そして最後は二つの意志を成り立たせる強固な財務基盤を維持していく意志です。この三つを貫こうと言い続けています」
――社長ひとりの意志で持続的な成長は可能か。
「持続的成長には重要なことがもう一つあります。トヨタ中に数多くのリーダーをつくりあげることです。トヨタは約1千万台の生産規模になりました。そういう会社を一人のリーダーが経営するよりも、より現場に近い、より商品に近い、よりお客様に近い所にリーダーが何人もいて、『リーダーズ』が会社を引っ張ることが重要です」
――豊田社長は最近、「トヨタは小さなベンチャー企業だった」と言及する。創業の原点を思い出してほしいということか。
「例えば販売店の経営者の3代…