絶壁のくぼみに立つ、三仏寺奥の院の国宝・投入堂。地震の影響で参拝できない状況が続く=鳥取県三朝町三徳
昨年10月に鳥取県中部を襲った地震で、断崖絶壁に立つ三仏寺(さんぶつじ、同県三朝〈みささ〉町)の奥の院・投入堂(なげいれどう、国宝)への参拝道に亀裂が入り、参拝できない状態が続いている。参拝道の修復に時間も費用もかかるため、三仏寺は4月に迂回(うかい)路を整備する方針を決め、寄付を募り始めた。
投入堂は標高約500メートルにあり、三徳山(みとくさん、標高約900メートル)のふもとの三仏寺本堂付近から上る約1キロの参拝道は、岩場が多く険しい。昨秋の地震で三朝町は震度5強を観測。参拝道の途中にある急斜面「クサリ坂」の大きな岩に幅約10センチ、長さ約15メートルの亀裂が入った。
亀裂の深さは2メートル以上あり、雨や雪の流入で亀裂部分が崩落する恐れもある。すぐ横は絶壁で、三仏寺は安全が確保できないとして入山を禁止した。その結果、地震直後から昨年11月までに計画されていた参拝登山の14ツアーがすべて中止になり、参拝客が激減。紅葉シーズンで例年なら千人前後が訪れる祝日の11月3日も、昨年はわずか80人。投入堂の参拝者から徴収する入山料の収入(大人600円など)が途絶え、寺の維持管理が難しくなっているという。
寺によると、亀裂の修復は山中での工事となり、機材や資材の運搬など作業自体が難しい。期間は数年、費用も1億円程度かかる見込みだという。このため、近くの岩場に鎖を付けたり、看板を設置したりするなど、約200万円をかけて迂回路を整備することにした。17日からクラウドファンディング(CF)で資金を募る。
同寺の執事次長の米田良順さん…