ノドグロの稚魚=富山県滑川市の県水産研究所
日本海沿岸でとれる高級魚ノドグロ(アカムツ)。初の人工授精による稚魚育成に成功した富山県水産研究所(同県滑川市)が今年、本格的な放流にこぎ着けた。2月に5・5万匹を放流。体長約5センチが、約4年後には約25センチに育って漁の対象になる見通しだ。
ノドグロは2014年にテニスの全米オープンで日本人初の準優勝に輝いた錦織圭選手が帰国後に「食べたい」と発言するなど、人気は高い。だが、生態に不明な点が多いうえ、環境変化などストレスにも弱く、長年にわたり「人工飼育は難しい」とされてきた。
同研究所は「漁業者の所得向上につなげよう」と、11年から繁殖に向けた研究を開始。13年に新潟市水族館「マリンピア日本海」などとの共同研究で、人工授精で生まれた稚魚の育成に成功した。当初は孵化(ふか)からの半年生存率が1%未満だったが、成長に合わせて天然成魚がすんでいる水温より高めに設定したり、照明を24時間つけっ放しにしたりするなど試行錯誤して20%程度まで高めてきた。
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