自民党の麻生太郎副総理が描く麻生派と谷垣グループに山東派を加えた派閥再編が先送りになりそうだ。最大派閥・細田派の対抗勢力を作るため、旧宮沢派(宏池会)の流れを受け継ぐ岸田派を含む「大宏池会」構想の先駆けとして5月中の先行合流に向け調整してきたが、療養中の谷垣禎一前幹事長から「待った」がかかった形だ。
12日夜、東京都内であった麻生派のパーティー。麻生氏はあいさつで「きちんとした大きな政策集団を作り上げる。私どもは同じ保守の中で作り上げていきたい」と重ねて派閥再編に意欲を示した。合流に積極的な議員は昨秋から「党内の保守中道勢力を結集しよう」と話し合い、大型連休のころに、麻生氏と山東昭子元参院副議長のトップ会談も計画している。
麻生氏は6日、自転車事故で療養している谷垣氏に合流を促す手紙を届けた。だが、谷垣氏側は10日、「リハビリ中で事情がよくわからない。復帰したら周囲によく話を聞きたい」と返事したという。谷垣グループには「合流は谷垣氏の復帰を待つべきだ」との意見が根強い。山東氏も谷垣氏の意向を見定める考えで、最近、所属議員に通常国会閉会までは合流判断をしない考えを伝えた。
こうした中、谷垣グループで合流協議を進めてきた佐藤勉・衆院議院運営委員長、棚橋泰文・元幹事長代理ら積極派の議員には、グループを抜けて早期の麻生派入りを目指す動きがある。(寺本大蔵、南彰)