客と談笑する村瀬さん(左)。「らむ読 室」の看板奥には蔵書の本棚が並ぶ=名古屋市天白区焼山1丁目の「らむぶっくす」、小川智撮影
この本屋さん、ただ者ではない。店内に並ぶ書籍の半分は売り物ではなく、店主の蔵書だ。商品の本も店主が厳選したものばかり。本を愛する男性が30年以上営む書店が名古屋市天白区にある。店名は「らむぶっくす」。ネットで何でも調べられる現代に「本との出会いで、何かが変わるきっかけになれば」と日々、店に座る。
店は同区焼山1丁目のマンション1階にある。村瀬義夫さん(62)は市内の書店勤務を経て1986年、32歳でこの店を開いた。販売書籍は約4千冊。取次からの新刊配本はほとんどない。著作者名やテーマ、書かれた視点などから自分で目利きして取り寄せる。売り場には表紙がすでに色あせた本も並ぶ。チェルノブイリ原発事故をルポした88年発行の書籍などだ。「誰かに読んでほしいけど、返品できないのが置き続ける本当の理由です」と笑う。
店の奥に「らむ読 室」という看板が掲げられた一角がある。ここに村瀬さん自身の蔵書が置かれている。売り物の本とほぼ同じ約4千冊。机と椅子が用意され、座って自由に読める図書室のような空間だ。
約10年前、レジ横の本棚に置…