大勢の観客が詰めかけたRADWIMPSのコンサート=7月12日、上海市内、冨名腰隆撮影
中国でも広がる「コト消費」の分野に、日本文化の波が押し寄せている。日本への旅行経験者が増え、本物志向の動きも強まっている。専門家は、日本の流行を素早く提供することが大事だと指摘する。
コト消費は、物品を購入する「モノ消費」と異なり体験を重視する消費行動のこと。旅行やアミューズメントパークで遊ぶことなどはコト消費の代表例だ。
7月中旬、上海市内の大型アリーナに、8千人以上の若者が詰めかけた。お目当ては、日本の人気ロックバンドRADWIMPS(ラッドウインプス)だった。メンバーが「超開心(超楽しい)」「一定回来(必ず戻ってくる)」などと中国語で語りかけると、大きな歓声が沸いた。
RADWIMPSを一躍有名にしたのは、音楽を担当した大ヒット映画「君の名は。」だ。中国でも1億1300万人が鑑賞し、日本映画で過去最高となる約5億8千万元(約97億円)の興行収入を記録した。映画を見てファンになったという李娜さん(23)は、「本物に会えるなんて最高。中国に来てくれてうれしい」と喜んでいた。
「君の名は。」の上映やRADWIMPSのコンサートを中国で実現させたのは、知的財産ビジネスを展開する「アクセスブライト」(東京都)だ。セガ・チャイナ出身でゲーム分野が中心だった柏口之宏社長が、コンサートのような体験型ライブエンターテインメントに乗り出したのは最近だ。
今秋には、全世界でベストセラーとなった東野圭吾原作の「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の中国での舞台化にも挑む。日本でも映画化が決まった人気作品に、いち早く目を付けた。柏口氏は、中国で成功を導くこつをこう語る。
「日本の流行をリアルタイムで…