昨年10月、中国スーパーリーグに出場した平野美宇=江蘇省泰州市、冨名腰隆撮影
成長著しい日本選手の受け入れは、もうお断り?
卓球王国の中国が、2020年東京五輪のメダルを目指す日本代表選手の「武者修行」の受け入れを拒むケースが相次いでいる。これまで日本選手の受け入れに協力的だった中国だが、日本協会幹部は、「急成長する日本に警戒心を強めているのではないか」と見ている。
「今年は、外国選手の受け入れはできません」
数日前、中国側から日本協会にそんな連絡が入ったのは、17歳の平野美宇(エリートアカデミー)だ。今春のアジア選手権で世界ランキング1位の丁寧ら中国のトップ選手を次々と破って優勝した平野は昨年、初めて世界最高峰の中国スーパーリーグに挑んで技を磨いた。昨年に続いて今年も参戦を希望したが、かなわなかった。
リオデジャネイロ五輪女子団体銅メダルの石川佳純(全農)、リオ五輪男子団体銀メダルの丹羽孝希(スヴェンソン)も同リーグへの参加を拒まれたという。今春の世界選手権で史上最年少で8強入りした14歳の張本智和(エリートアカデミー)は、両親の母国・中国での合宿を計画していたが、中国側の意向で中止になった。
日本協会の幹部によると、中国は五輪の1年前から外国選手のスーパーリーグ参戦を制限してきたが、今回は中国当局の指示で前倒ししたという。日本はこれまで中国出身の指導者を招いて選手強化を図ってきたが、別の協会関係者は「中国はコーチ派遣にも規制をかけつつある」という。
卓球で絶対的な強さを長年誇ってきた中国だが、近年はサッカーなど他競技の人気が高まるにつれ、「選手層は以前ほど厚くない」と指摘する関係者もいる。(前田大輔)