寄託されて以来、初めて報土寺に戻った阿弥陀如来立像=京都市上京区、佐藤慈子撮影
水上勉の小説「五番町夕霧楼(ごばんちょうゆうぎりろう)」。1950年の金閣炎上を題材に、京都・西陣の遊郭街、五番町で働く女性と幼なじみの僧侶の悲恋を描いた物語は、佐久間良子さんらの主演で映画化された不朽の名作だ。
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秋の京都非公開文化財特別公開(11月1日~12日)で初公開される報土寺(ほうどじ、京都市上京区)はその旧遊郭街の一角にある。かつては、亡くなっても引き取り手のない遊女の仮通夜を引き受け「投げ込み寺」と呼ばれたという。「戦後しばらくまで境内にあった離れは遺体安置所として使われていたそうです」と塩見幸治住職(41)。
いま、周辺には遊郭街の面影はないが、本堂前に先代住職が建てた遊女観音があるほか、地蔵堂の額には「腹帯(はらおび)地蔵」の文字とともに伎楼(ぎろう)「生駒楼」の名が記されている。腹帯地蔵は像高2メートルほどで、衣には華麗な彩色が残る。江戸前期に洛陽四十八願地蔵の一つに数えられ、かつては腹帯を授与していたという。塩見住職は「いつの時代も女性たちを見守り続けてきたお地蔵様なのでしょう」と話す。
今回、報土寺が特別公開に参加…