新型ハイゼットカーゴの黒一色のインパネ周り。シンプルで機能的な造形
5日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催中の東京モーターショーで、トヨタ自動車・ダイハツ工業の展示ブースの端っこにありながら、人だかりが絶えないのが軽商用バンの新型ハイゼットカーゴだ。商用車には不相応なぐらいの、つり上がったLEDヘッドライトのいかつくて精悍(せいかん)なイケメン顔が注目を集めている。
特集:東京モーターショー2017
特集:時代を映すコンセプトカー
ハイゼットカーゴは、スズキ・エブリィやホンダ・アクティバンと並ぶ軽商用バンの人気車種。取り回しの良さや維持費の安さから、商店の配送業務などで根強い需要がある。2004年に全面改良された現行型は、トヨタとスバルにもOEM供給されている。
13年にわたって生産販売される長寿モデルを一部改良した新型は、同社の最新予防安全装置「スマートアシストⅢ」を装備。内外装の変化は著しく、収納トレーを増やしたインパネや、近年のトレンドであるつり目のヘッドライト、面積の大きいフロントグリルが特徴的だ。街角で見かける機会が多い割には直接触れる機会が少ない商用バンだけに、興味深そうに荷室に見入ったり運転席の座り心地を確かめたりする来場者が多かった。この新型ハイゼットカーゴは11月中の発売を予定しているという。
一方で、ダイハツはショーの目玉として、昭和30~40年代に活躍した商用オート三輪「ミゼット」と、その21世紀版をうたう電気自動車(EV)の軽商用コンセプト車「DNプロカーゴ」を展示。特にミゼットの穏やかで柔和な顔つきが印象的だった。路上で頻繁に出くわす商用車は、周囲を威嚇するかのようないかつい表情よりも、優しい顔つきの方がふさわしい気もする。思えば昭和時代の商用車にはのんびりした雰囲気の愛くるしいデザインが多い。あおり運転が社会問題化する世知辛い世相を考えると、そんな和み系な顔つきの商用車の登場も期待したくなる。(北林慎也)