衆参の会派別勢力
安倍晋三首相が新年の記者会見で憲法改正の発議へ向けた強い意欲を示した。2019年に予定される天皇陛下の退位や参院選といった政治日程をにらみつつ、政権は今年を「勝負の年」と位置付ける。立憲民主党が反対姿勢を強める中で、公明党や希望の党との駆け引きも始まっている。
「今年こそ憲法のあるべき姿を国民に提示」 安倍首相
「強い使命感、責任感に改めて敬意を表したい」
4日の年頭記者会見冒頭、安倍首相が口にしたのは、北朝鮮対応や海賊対処で年末年始も活動する自衛隊への称賛の言葉だった。
9条をめぐる自衛隊の「違憲論争に終止符を打つ」と意気込んできた首相にとって、自らが掲げた自衛隊明記案は改憲の本丸だ。この日の会見では「憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示し、議論を一層深めていく」と述べ、国会発議に向けた意欲を鮮明にした。
自民党は昨年末の憲法改正推進本部で、自衛隊明記など「改憲4項目」について論点整理をとりまとめた。自衛隊明記案については戦争の放棄をうたった9条1項、戦力の不保持と交戦権の否認を掲げた2項を残す首相案と、石破茂・元幹事長らが主張する2項を削除する案の両論を併記した。
推進本部は月内に絞り込みに向けた作業に入るが、執行部は2項削除案は世論の抵抗が強いため、最終的には首相案に落ち着くと見る。本部長代理を務める中谷元・元防衛相は年末のテレビ番組で「予算を終えれば国会での議論に入る。それまでにはまとめられる」と語り、3月までの集約に自信を見せた。
自民党が作業を急ぐのは、首相が打ち出した改正憲法の2020年施行を実現するための日程が極めて窮屈だからだ。19年夏には参院選があり、改憲に積極的な勢力が国会の発議に必要な3分の2を割り込めば、今年9月の総裁選で3選を決めたとしても、自らの政権下での発議は不可能になる。
また、19年4月30日には天…