前半、先制ゴールを決め喜ぶアルゼンチンのメッシ=ロイター
(26日、アルゼンチン2―1ナイジェリア サッカー・ワールドカップ)
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世界中のファンが、アルゼンチンが、なにより自分が待ちわびたゴールだった。
メッシは仲間の祝福を待たずに、両ひざをついて両手を天に広げた。歓喜というより、神への感謝、あるいは、安堵(あんど)に見えた。
3戦目にして生まれた得点は美しい一撃だった。
前半14分。ゆっくりと横にステップを踏み、緩急をつけて縦に加速すると、パスを出すバネガと描いたイメージがシンクロした。DFの背後に出ると、目の前にボールが落ちてきた。
左太ももで止めて、さらに左足の甲で柔らかいタッチ。この時点で、DFは諦めたように見えた。ボールを手なずけ、走り込むスピードは落ちていない。右足でとらえたシュートも完璧だった。
試合は終盤までもつれたが、エースのゴールがチームを勇気づけた。W杯で過去4戦全勝というナイジェリアとの相性を思うほど、余裕はなかった。ボールの争奪に闘志を駆りたて、ゴールに向かう。勝てなければ終わりという状況が、原点に立ち返らせた。
3戦目にして、メッシと周囲の関係もほどよく落ち着きつつある。メッシへのパスに執着しすぎた初戦、逆にエースにパスが渡らず孤立した第2戦。3戦連続で布陣と先発を変えて、最終ラインは4バックに戻した。サンパオリ監督はなお、「周囲のサポートがメッシには必要だ」。
中3日で難敵を迎える。相手のフランスにはバルセロナの同僚であるウンティティらがいる。「相手のことも、何をすべきかも十分に理解している」。メッシの表情は落ち着いたものだった。(潮智史)