避難所を訪れて被災者を激励したり、義援金を寄付したり、歌でエールを送ったり――。西日本豪雨の被災地を支援する芸能人やスポーツ選手らが相次いでいる。
21日午前8時半ごろ、愛媛県西予市。アイドルグループ「嵐」の松本潤さんが、避難所となっている市立野村小学校の体育館に現れた。同市野村町では約650戸が浸水し、野村小ではいまも80人ほどが過ごしている。
松本さんは20日から広島、愛媛両県の被災地を回り、嵐のチャリティーイベントの収益から、両県に5千万円ずつ寄付することを表明した。野村小では「早く平時の生活に戻れるよう祈っています」とあいさつ。子どもたち10人をステージ上に招くと、タオルやTシャツ、ばんそうこうなどが入ったグッズを一人一人に手渡し、「暑いけど体に気をつけてね」とねぎらった。
松本さんは報道陣に「たくさんの人が現状を知り、行動を起こそうと思ってくれたら、こんなにうれしいことはない。それが被災した方々のために、自分たちができることだと思う」と話した。
グッズを受け取った中学1年生の越智楽都君(13)は「わざわざ来てくれてうれしい。写真も撮ってくれて、とてもいい人でした」と笑顔で話した。
ゆず、歌の配信収益金を寄付へ
広島県が自衛隊に災害派遣を要請した6日、公演のため広島に滞在していた人気デュオ「ゆず」の北川悠仁さんと岩沢厚治さんは、歌で支援する。交通機関が混乱し被害が大きかったことから公演は中止されたが、被災者を支援するため、楽曲「うたエール」の弾き語りバージョンを急きょ録音。20日から主要な音楽配信サイトで配信し、収益金は全額、被災地の支援金として寄付するという。
2人は「広がっていく被害の大きさを目の当たりにし、とても苦しく、悲しい気持ちになりました。自分たちになにかできないかをずっと考えていました。僕たちの歌が、皆さんのこれからの復旧・復興のエールになりますように」などと事務所HPで連名でコメントした。
俳優の谷原章介さんは18日、土砂災害のあった広島県三原市にボランティアで入り、住民らと土砂の撤去や土囊(どのう)をつくる作業にあたった。俳優の斎藤工さんは同県坂町でボランティアとして活動した。
ゆかりの人々「恩返し」、避難所も訪問
被災地の出身者やゆかりのある有名人からの支援も目立つ。
元広島カープのエース前田健太投手(30)=米大リーグ・ドジャース所属=は「広島に所属していた際に、たくさん応援をしてもらった恩返しがしたい」と、広島県に義援金1千万円を寄付。同じく広島や大リーグで活躍した元投手の黒田博樹さん(43)も同県に1千万円を寄付した。
愛媛県西条市出身で、サッカー日本代表の長友佑都選手は同県大洲市の避難所を訪れ、子どもたちに「苦しいことやつらいこともあるけれど、強い気持ちを持って乗り越え、夢をかなえてほしい」と語りかけた。
大規模浸水被害に見舞われた岡山県倉敷市出身のタレントMEGUMIさんも、避難所を訪問。その後、日焼け止めや化粧品などを差し入れたという。インスタグラムで「予想を遥(はる)かに超える被害に胸が締め付けられました」とし、支援を呼びかけた。芸人のブルゾンちえみさんは、岡山市の実家が浸水被害を受けたという。約65万人のフォロワーがいる公式ツイッターでボランティアの登録情報などをツイートし、支援を呼びかける。
影響力のある自身のサイトなどで支援を呼びかける動きも。
歌手の加山雄三さん(81)は、広島県と岡山県に500万円ずつ計1千万円を寄付。公式サイトで「助け合って生きるのが人生。少しでもファンのみなさんも僕の気持ちを汲(く)んでいただいて、一緒に支援していきましょう」と呼びかけている。
YOSHIKI「何言われてもいいから行動を」
ロックバンド「X JAPAN」リーダーのYOSHIKIさんの公式ウェブサイトによると、YOSHIKIさんは自身が運営する非営利団体を通じて日本赤十字社に1千万円を寄付したという。YOSHIKIさんはツイッターで西日本豪雨のハッシュタグを使い、「“何かを言われる事を恐れて行動を起こさない”よりも、“何を言われてもいいから行動を起こす”それによって一人でも多くの被災者の方々を支援できるのなら。一緒にがんばろー!」とツイートしている。
タレントのはるな愛さんは15日、岡山県倉敷市真備町の避難所を訪ねた。手鏡や下着、衛生用品などを差し入れ、浸水した家屋の掃除を手伝ったという。はるなさんはブログで、避難所にいる人が便秘に悩まされていることや、サイズの大きい服や下着が不足していると伝えている。