自民党の杉田水脈(みお)衆院議員(比例中国ブロック)が月刊誌への寄稿で、同性カップルを念頭に「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」と行政による支援を批判した。人権意識の欠如した記述だと批判が上がっている。
「おかまに行政支援は不要」発言、地方のLGBTが抱える生きづらさ
寄稿は18日発売の月刊「新潮45」が掲載。「『LGBT』支援の度が過ぎる」と題して、「『常識』や『普通』であることを見失っていく社会は『秩序』がなくなり、いずれは崩壊していくことにもなりかねません」などと主張した。
SNSで「優生思想だ」といった批判が広がると杉田氏は22日、自身のツイッターで、先輩議員から「間違ったこと言ってないんだから、胸張ってればいいよ」などと声をかけられたとし、「自民党の懐の深さを感じます」と投稿した。
しかし、党内からも批判が相次ぐ。武井俊輔・前外務政務官は19日、寄稿を念頭に「劣情を煽(あお)るのは政治ではなくて単なるヘイト」とツイッターで指摘。橋本岳・同党厚生労働部会長は朝日新聞の取材に「生きづらさを抱える人たちが、自分らしく生きられるようにするための福祉行政全般を否定していると受け止められかねない」とした。
当事者団体も23日、抗議声明を発表した。LGBT法連合会は「LGBTに限らず広く人権の観点から、『生産性』を引き合いに出す主張は疑問」と指摘。LGBT理解増進会は「重大な懸念」を表明し、自民党本部に善処を申し入れた。
杉田氏は23日、月刊誌の発売後に「ゲイだと名乗る人物」から殺害予告のメールが届いたとして赤坂署に被害届を提出し、関連するツイートを削除。朝日新聞の取材には「コメントできない」と語った。
杉田氏は2012年に初当選し、2期目。元次世代の党で、自民党が昨年の総選挙で比例中国ブロックに、比例単独候補としては最上位の17位で擁立した。(二階堂友紀)