政府は、セクハラ問題で辞任した財務省の福田淳一・前事務次官の後任に岡本薫明(しげあき)主計局長(57)を起用する人事を固めた。森友学園の公文書改ざん問題で辞任した佐川宣寿(のぶひさ)・前国税庁長官の後任には、長官の事務を代行している藤井健志・同庁次長(55)を充てる方向だ。閣議の承認を経て、月内にも正式に発令する。
財務省では、福田氏が辞任した4月以降、次官級の「2トップ」が不在という異常事態が続いていた。
岡本氏は予算編成を担う主計局を中心に要職を歴任し、次期次官の有力候補とされてきた。しかし、改ざん問題が起きた当時、文書管理や国会対応の責任者である官房長だったため、財務省は当初、改ざん問題に関わりがないとされる星野次彦主税局長を起用する方向で調整に入った。
だがその後、省内や首相官邸内から、本命の岡本氏を起用して組織の立て直しを急ぐべきだという意見が徐々に強まり、改ざん問題に対する世論の動向も見極めたうえで、岡本氏の起用に落ち着いた。財務省の調査結果によると、岡本氏は改ざんの事実は知らなかったとされ、処分も懲戒処分より軽い「文書厳重注意」だった。ただ、処分の直後に昇格させることの是非が今後問われる。
岡本氏は1983年に大蔵省(現財務省)に入省。官房長を経て、17年7月から主計局長。