1993年9月のメージャー首相(当時)来日を前に、英政府が日本の皇室メンバーの人柄を首相に報告した内容が、英公文書館が24日に公開した文書で明らかになった。天皇陛下について「やや控えめな外見の裏に鋭い知性があり、私生活では考古学や歴史などの話題に生き生きとされる」とするなど、好意的な受け止めがつづられている。
天皇陛下については「とりわけ英王室メンバーを歓迎し、もてなすことに心を砕いてきた」とも説明した。皇后さまは「知的で社交的、非常に魅力的で、英語がとても上手。穏やかな外見にもかかわらず皇室内で相当の改革を進めたと評価されている」とした。母乳育児や、人々との間に距離を作る警備を緩めようとしてきたことにも触れた。
皇太子さまについては、日英の交流行事に定期的に出席していることに言及し「厳しい宮廷の儀礼から少し抜け出せる機会として楽しみ、できるだけ打ち解け、親しみやすい存在になろうと最大限の努力をしている」。雅子さまは「知的で意志が強く、(勤務先だった)外務省ではとても尊敬され、長時間働くことで知られていた」とした。「国際社会で日本が果たすべき積極的役割について確固たる考えを持つことで知られる。皇太子さまは、彼女の外交スキルを皇族として生かせると指摘して、結婚を説得したと言われている」とも報告している。
メージャー首相は日本政府の公賓として招かれ、細川護熙首相(当時)と会談したほか、天皇、皇后両陛下との昼食会に出席した。(ロンドン=下司佳代子)