熊本地震で被災した熊本城(熊本市中央区)の大天守で23日、石垣の再建作業が始まった。城全体で、積み直しが必要と見込まれる石の数は約7万~10万個。完了までに推定で約20年かかる作業の第一歩が刻まれた。
午前9時半ごろ、最初の石(重さ約400キロ)をクレーンで釣り上げ、石工らがはまり具合をゆっくり確かめながら、積み直していった。
2016年4月の熊本地震では、城全体の石垣面積の3割にあたる約2万3600平方メートルが崩落した。このうち、来年までの外観復旧をめざす大天守の石垣から着手した。
大天守の石垣で積み直しが必要な石は計791個。できる限り崩落前に使われていた石を使うが、170個ほどは割れるなどしており、新たな石に交換するという。修復可能な石は、特殊な樹脂やステンレスのピンなどを使い、くっつけて使うことも検討する。
熊本城総合事務所の野本達雄副所長は「最初の石の積み直しを行った記念すべき日。安全な熊本城を造っていきたい」と話した。(大畑滋生)