1966年に旧清水市(現・静岡市)で一家4人を殺害したとして死刑が確定し、再審を求めている元プロボクサーの袴田巌さん(82)の弁護団が23日、最高裁に書面を提出した。静岡地裁は2014年、DNA型鑑定などを根拠に再審開始決定を認めたが、東京高裁は今年6月に「鑑定は信用できない」として決定を取り消しており、弁護団は「高裁決定は誤っている」と主張している。
焦点となっているのは、「犯人のものとされる着衣から検出されたDNA型が、袴田さんと一致しなかった」という本田克也・筑波大教授の鑑定結果。高裁決定は分析データや実験ノートを保存していない点などを挙げて、「結論を支持することは困難だ」と判断した。会見した弁護団は「本田教授は求められた分析データを全て提出している。鑑定は自動化されているので、実験ノートはそもそもない」などと訴えた。(杉浦幹治)