23日の神奈川大会は南大会の準々決勝4試合があり、4強が決まった。横浜は計13安打で立花学園にコールド勝ち、鎌倉学園は延長十二回にサヨナラ勝ちして21年ぶりの準決勝進出を決めた。金沢が敗れ、南大会では公立校が姿を消した。24日は北大会の準々決勝4試合が予定されている。
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攻めと守り、執念の12回 藤沢翔陵
3―3で迎えた延長十二回裏。十回から藤沢翔陵の4番手としてマウンドに上がっていたエースの白坂大樹投手(3年)は、2連続四球で無死一、二塁のピンチを迎えた。
初めての準々決勝の舞台。緊張もあり、思うように腕が振れなくなった。チームのスローガン「執念」を胸に、「エースナンバーを背負っている執念」で腕を振った。続く打者を空振り三振に仕留めると「よっしゃ!」と声が出た。
次打者の右前安打で1死満塁。続く3番新倉将大選手(同)に投げた直球は、捕手の構えよりボール1個半ほど中に入った。うまく捉えられ、打球は左方向へ。内野を越えると、白坂投手はマウンドに座り込み、宮川勇汰捕手(同)は、ひざに手を置いたまましばらく動けなかった。
「勝ち負けじゃなくて、積極的にやろう」。春の大会で、横浜の投手陣を前にバットが出なかった反省から、川俣浩明監督は選手たちに繰り返し伝えた。チームは最初に来たストライクの球から積極的に振り、ここまでの4試合で計61安打、わずか8三振だった。
六回から九回を三者凡退に抑えられたが、「攻め続けた結果だからオッケー」と川俣監督は言う。中島彰吾選手(同)は初回、内角高めの直球を振り抜き、先制点となる左越え本塁打を放った。五回も初球を振り抜き、三塁打。「悔しいが、積極的に振る翔陵の野球はできた」
七回裏、無死満塁のピンチをしのいで、九回裏にも2死満塁。暴投も捕逸も許されない場面。宮川捕手は後ろに転がりそうな投手の球を体を張ってとめ続けた。「自分が後ろにこぼしたらピッチャーが変化球を投げにくくなる」。内野の好守で切り抜けた。選手からは、自然に「執念、執念!」と声が上がった。
一方の鎌倉学園は「同点でもう1回やり直そうよ」と声をかけあい、試合を決めた。
「ここぞの集中力で相手が上だったのかも」と川俣監督。サヨナラ負けを喫したが、宮川捕手は「悔いはないです」。白坂投手は「くらいついていく翔陵らしい野球ができたと思う」と話した。(神宮司実玲)