国内初のカジノ解禁につながる統合型リゾート(IR)実施法が成立した。今後はIR誘致をめざす自治体の動きが本格化する。だが、IRで地方は活性化するのだろうか。IRを題材にした小説を執筆した真山仁さん(56)に聞いた。
――IR誘致をめぐる地方自治体の攻防などを題材にした小説「バラ色の未来」を昨年に刊行した。
最初は地方創生をやりたかった。東京の政治が地方をダメにしたというテーマ。その中でカジノの話は挙がっていたけど、さすがに法律がスルスルと決まると思っていなくて。そしたら、どうも行きそうだという話になってきて。
地方にカジノが来たら大きな成長産業になって、観光でぼろもうけできると、よく言われています。でも、本当にそうなんだろうかと。新しいことや、何となく金もうけが成功するような話って、光と影があるわけで、IRの課題はきちんと伝えないといけないと思ったのです。
――地方活性化の起爆剤として、IR誘致をめざす自治体の姿勢には懐疑的だ。
IRで成長戦略なんてあり得ない。ハコモノがだめっていうのを、これまで何度、言ってきたことか。成功しているのは、世界でもマカオとシンガポールだけです。特にシンガポールは商人の街で、国際会議もすごく上手。先日の米朝首脳会談もシンガポールでした。こうした知恵やビジネスへのマインドが日本とは違い過ぎると思います。
政府はすぐ結果がほしいのでしょう。新たな成長産業が1、2年で出てくるわけがない。そんな中、インスタントにすぐにできそうなものが一個あった。それがIR。政府は簡単にお金さえ手に入れば成功という感覚しかないんじゃないかと疑ってしまう。
――小説では、IRによってギャ…