大分県で生産される天然炭酸水のミネラルウォーター「YOIYANA(よいやな)天然炭酸水」が、静かな人気を呼んでいる。昨年度の出荷量は約100万本となり、出荷を始めた6年前の約4倍。不動産会社が始めたサイドビジネスが、健康志向の高まりにも乗って急成長中だ。
温泉湧出(ゆうしゅつ)量と源泉数の多さから「日本一の『おんせん県』」を名乗る大分県。別府や由布院などでは古くから「飲泉」が盛んで、ペットボトル詰めの商品もある。だが、天然炭酸水は珍しい。
「よいやな」は「いいなあ」という大分県の方言。手がけるのは、大分市古ケ鶴の「住宅企画」。社員10人ほどの不動産と建築の会社だが、2001年に「炭酸水事業部」を立ち上げた。一般向けに有料の天然炭酸水の水くみ場を同県由布市庄内町の阿蘇野地区に開設した。
佐藤幸一社長が所有していた土地で、以前から天然炭酸水の源泉があった。フランス産「ペリエ」など海外の天然炭酸水が売れているのを見て、安く提供できないかと考えた。
くじゅう連山の黒岳のふもとで周辺にはミネラル分を豊富に含む湧水(ゆうすい)地帯があり、数百メートル範囲で天然炭酸水が湧き出ている。阿蘇野川上流の清流沿いに源泉があり、10リットルあたり100円で冷たい炭酸水が買えるとあって、週末には県内外からうわさを聞きつけた人たちが集まってくる。
ここの炭酸水は二酸化炭素がしっかりと水中に溶け込んでおり、コップに注いでもあまり泡立たない。口に含むとわずかに舌で微炭酸が感じられる程度で、飲みやすいのが特徴という。
福岡県久留米市の男性(70)…