自民党の石破茂・元幹事長は28日、兵庫県豊岡市を訪れ、戦前の国会で政府・軍部を鋭く批判した「反軍演説」で知られる斎藤隆夫氏の記念館を見学した。秋の党総裁選に向けて政権批判を強める石破氏は、自らと重ねるように「批判されても言うべきことを言う政治家がいた」と語った。
石破氏「『岸田派を干せ』とは何ですか、自民党は」
斎藤氏は太平洋戦争開戦前年の1940年2月、衆院本会議の質問演説で、日中戦争をめぐり政府・軍部の対応を批判。陸軍は「聖戦の目的を侮蔑するもの」と猛反発し、演説の3分の2以上が議事録から削除された。民政党は斎藤氏を除名し、衆院も除名を可決。賛成296、棄権・欠席144。反対はわずかに7票だった。
石破氏は斎藤氏の写真や演説の資料、着用していた背広などの展示品を見学。「反軍演説は後ろから鉄砲を撃つようなものではない」と述べるなど、自らに向けられる批判を意識するように、斎藤氏の「反骨精神」へと思いをはせた。
見学後、石破氏は記者団に「世論に迎合したい、自分の身が大事との思いにとらわれそうになる時、斎藤氏を思い出すと、これじゃいかんと思う。一歩でも近付きたい」と語った。(岩尾真宏)