平成は年金の大激動期だった。そのまっただ中で、渡辺芳樹さん(65)は、約7年にわたり厚生労働省年金局の審議官と局長、社会保険庁長官を歴任した。大使館員、大使として2度、スウェーデンで勤務するという異色の経歴の持ち主でもある。「保険料を段階的に引き上げて上限を固定し、人口減少や寿命の延びに応じて給付を抑制。ただし、現役世代の平均手取り収入の50%を下限」という2004年の大改革はどうやって実現したのか。14年前、首相官邸や厚労省の記者クラブで取材にあたっていた記者には見えていなかった裏舞台を、生々しく語ってくれた。
年金ようかん、分け合うはずが 高齢者の分、薄くならず
一気に決める
――審議官として年金局に赴任したのが03年7月でした。当時は、どんな雰囲気だったのですか。
「まだ3年前のショックが色濃…