日本銀行は31日の金融政策決定会合で、長期金利の変動幅を拡大させるなどの政策修正を決めた。会合後に記者会見した黒田東彦総裁の主な発言は以下の通り。
――なぜこのタイミングで政策修正か。
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「これまで考えられていたよりも、現在の金融緩和を長く続ける必要がある。単に長く続けるだけでは、金融政策に対する信認を十分確保する観点からは、不十分な可能性がある。現在の金融緩和の持続性を高くして強化した」
――金融政策の持続性は高まったのか。
「(今回の対応で)十分に持続性があると考えている。長期金利については時々、取引が成立しないなど国債市場の機能が低下している。(長期金利の誘導目標を)プラスマイナス0・1%程度の倍くらいを念頭において変動幅を大きくすることで、市場の取引や機能を改善していき、現在の大幅な金融緩和を粘り強く続けていく」
――フォワードガイダンス(先行きの指針)導入の狙いは。
「2019年10月に予定されている消費増税の影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえて当分の間、現在の極めて低い金利水準を維持することを示した。早期に出口に向かうとか、金利が引き上がるのではといった一部市場の観測は、完全に否定できる」
――今回の対応は副作用対策か。
「金融仲介機能について、現時点で全体として大きな問題があるとは考えていない。ただ低金利環境が長期化するもとで将来、仲介機能が停滞方向に向かうリスクはありうる。金利形成の柔軟性を高めることで、市場機能への影響を軽減することに資するのでは、と考えている」
――金利の誘導目標に変動幅を持たせると日銀の裁量が増え、不透明性を高めかねない。
「長期的な金融緩和を継続するために必要だと思ってやったので、むしろ不透明感を減らしている」
――長期戦の容認は金融政策の限界を示しているのではないか。
「物価上昇率2%の達成時期は後ずれしているが、達成に向けたモメンタム(勢い)は維持されている。必要であれば追加緩和もある。何か、追加緩和限界論にくみしたというのは全くない」