パン屋の「アンデルセン」や「リトルマーメイド」を全国展開する、アンデルセン・パン生活文化研究所の沼田二郎社長(58)に成長の秘密を聞いた。
「パン中心の暮らし」の先に アンデルセン、成長の源泉
――グループ内のブランドの違いを教えて下さい。
「『アンデルセン』は直営店で、全国の百貨店や駅ビルなどにあります。『リトルマーメイド』は、冷凍生地を使って、店舗ごとに焼き立てパンを提供するフランチャイズ。それに、スーパーやコンビニ向けの『タカキベーカリー』が主なブランドです」
――今年4月に社長に就任しました。
「今年1月ごろ、前任の社長(現会長)から打診がありました。私自身は入社以来、タカキベーカリーでずっと働いてきて、他のグループ会社での経験がなく驚きました。会長と二人三脚で分業しながら、仕事をスタートしています」
――事業環境はどうですか。
「ブランドごとに状況は違いますが、人口が減り始め、国内市場が厳しいことに間違いありません。少子高齢化で1世帯当たりの人数も減ってきているので、小型の食パンのラインナップを充実させることなどに取り組んでいます」
――競合他社も事情は同じです。経営者として何を重視していますか。
「お客様への提案力を強め、価値を感じてもらうことです。アンデルセングループは何十年も前から、パンを売る前に、パンに関わる生活提案をすることをとても大切にしてきました。今風に言うと『コト消費』の取り組みです。パンに合う食材や料理の販売、メニューの提案、ワイン教室など、店舗を拠点とした情報発信に力を入れています。たとえば、パンは朝に食べることが多いと思うのですが、違ったシーンでも食べていただけるようになれば、商品を手に取っていただく機会が増えます」
――今も支えになっている体験…