「アンデルセン」や「リトルマーメイド」は、全国あちこちに店舗を増やしている「パン屋さん」。これを手がけるアンデルセングループは、広島市に本社を置き、スーパーやコンビニ向けブランドの「タカキベーカリー」も手がけている。その商品開発や店づくりには、ユニークな工夫があった。 パンある生活に新たな価値 アンデルセン社長、戦略語る 食パン、フランスパン、デニッシュペストリー…。店の1階には、約80種類のパンが並んでいた。パンだけではなくサラダや肉などの総菜もある。中2階には約3千本を収蔵するワインセラーがあり、2階にはカフェもある。 広島市中心部にある「広島アンデルセン」。今は「仮店舗」だが、2020年には、元の店の場所で旗艦店として再オープンする。グループを束ねるアンデルセン・パン生活文化研究所社長の沼田二郎さん(58)は、「パンを中心とした生活の提案を通じて、お客様にパンを食べてもらう機会を増やしたい」と話す。 ワインを飲みながらパンを食べる。いっしょに買った総菜をおかずに、ディナーでパンを食べる。店づくりに、そんな提案がみてとれる。 人口が減る中では、国内市場は厳しい。だが、朝に食べることが多いパンを、ほかの時間帯、ほかの機会にも食べてもらえれば、販売が伸びるのではないか。それなら会社もまだまだ成長できるというのだ。 沼田さんは今春から、アンデルセン・パン生活文化研究所の社長としてグループの戦略策定などを担う立場になった。 これまでで最も強く印象に残る仕事は、傘下のタカキベーカリーでのものだ。スーパーやコンビニに卸すパンを製造する会社だが、沼田さんは以前、工場長を務めていた。そこで2005年から、素材や製法を重視した「石窯パン」の製造ライン導入に携わった。 スーパーやコンビニ向けに量産するパンとしては、タカキベーカリーの「石窯パン」は業界の先駆けだった。機械任せではなく、生地の成形は手作業。工場内に導入した石窯でパンを焼いた。工程を安定させるのに苦労したが、オンリーワンの商品は、数年で主力品に成長した。 沼田さんは、「新しい価値をつくることができ、競合他社との競争から抜け出ることができた」。店づくりもパンづくりも、オンリーワンの工夫。まだまだ進化を止めるつもりはない。(近藤郷平) |
「パン中心の暮らし」の先に アンデルセン、成長の源泉
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