森ビルは今月から、ライドシェア(相乗り)サービスの実証実験を東京都心で始めた。車4台を走らせ、社員約1300人に出勤や外出に使ってもらう。スマートフォン用のアプリに人数と乗車場所、目的地を入力すると、行き先が同じ方向の人を仲介する仕組みで、実験で集めたデータを新たな都市開発に生かす狙いだ。
森ビルが管理・運営する六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズなど社員の移動が多い地域を中心に、7人乗りのバン4台を平日の午前8時~午後7時半に走らせる。運転手はハイヤー事業者から派遣してもらう。
一般ドライバーがマイカーで客を乗せるライドシェアは国内では「白タク」とみなされ原則禁止だが、世界では急拡大している。森ビルは今後の国内での規制緩和をにらみ、ライドシェア事業が成立しやすい時間帯や乗降場所のデータを集め、新たな都市の移動需要を1年間かけて研究する。
1日の発表会で森ビルの竹田真二・営業推進部課長は「得られるデータには限りがあるが、高度化する都市生活をさらに快適にするために今回の実験を少しでも役立てたい」と話した。
国内のライドシェアをめぐっては今年1~3月、日本交通グループと大和自動車交通グループが都内でタクシーに他人同士を相乗りさせる営業の実証実験を実施。国土交通省が実験結果の検証を続けている。(高橋克典)