諫早湾干拓事業の堤防排水門の開門を命じた確定判決を「無力化」する福岡高裁判決を受けて、山口祥義・佐賀県知事らが3日、斎藤健農林水産相を訪ね、有明海の再生事業をさらに進めるよう要請した。
要望書では「福岡高裁も和解勧告では、有明海の漁業被害は認め、再生の取り組みの必要性にも言及している」とし、再生事業の継続、排水ポンプの増設などを改めて求めた。佐賀県有明海漁協の徳永重昭・代表理事組合長は要請後、「我々は和解で解決したかった。大臣から(再生事業を)ちゃんとやるとの言葉をいただいた」と話した。
また、斎藤農水相は3日の閣議後会見で、高裁判決について「国の主張が受け入れられたもの」と評価し、「開門を前提としない基金による解決という国の方針は変わらない」と話した。また、支払い済みの間接強制金の返還については「まだほかの訴訟もあるので、適切に対応する」と述べるにとどまった。(浅野真)