濁流がのみ込んだ穏やかな日常 土砂に漂う新築の香り——贯通日本资讯频道
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濁流がのみ込んだ穏やかな日常 土砂に漂う新築の香り

記者が見た西日本豪雨(広島・安芸区)


多くの命を奪った豪雨災害から約1カ月。被災地で取材を重ねてきた記者たちの思いは。


何もかも土砂と濁流にのみ込まれていた。広島県の大雨特別警報が解除された翌7月8日、記者(23)は大勢が犠牲になった広島市安芸区矢野東を初めて訪れた。そして約1週間、通った。


【パノラマ写真】西日本豪雨 広島・安芸区矢野東の土砂崩れ現場


被災地のために今できること…西日本豪雨支援通信


西日本豪雨、列島各地の被害状況は


初日。被害が特に大きかった梅河(うめごう)団地に続く県道は、壊れた車と流れてきた土砂に塞がれていた。泥に足をとられながら乗り越えて団地に入ると、幼い頃に砂場で泥団子を作った時のような臭いがした。直径2メートルほどの大きな岩が、住宅脇まで転がり下りていた。


団地の奥に進むと、木の骨組みがむき出しになって傾いている家があった。まだ新築の木の香りが漂っていた。近くには表紙に「おもいで」と書かれたアルバムや子ども服、おもちゃなどが散乱していた。この家に住む5歳の男の子が土砂に流され、亡くなった。土砂は新しい、そして穏やかな生活を押し流した。


しばらくすると、壊れた家から思い出の品々を探しに訪れる住民たちを見かけるようになった。若い女性は、クリーム色の大人の服を見つけた。抱きしめるようにその場にうずくまり、泣き崩れた。声をかけることができなかった。


2018年7月7日


2018年7月27日




7月24日、再び団地を訪れた。初日に見たあの岩はまだ残っていた。傾いた新築の家もそのままだった。


あの木の香りを忘れられずにいる。この災害をすべて無かったことにはできないのか。流された思い出を取り返すことはできないのか。見聞きしたことを、今も整理できずにいる。(大滝哲彰)


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