群馬生まれのコンビニエンスストア「セーブオン」(本部・前橋市亀里町)が8月末で姿を消す。地域密着のコンビニとして生き残りを図ってきたが、大手との競争激化で自社ブランドでの生き残りを断念した。多くの店舗は「ローソン」に転換される見通し。大手にない独特の商品群も見納めになりそうだ。
セーブオンは1983年、群馬県渋川市に1号店がオープン。ホームセンターのカインズなどを展開するベイシアグループ傘下で、一時は北関東3県や埼玉、千葉、新潟、福島、山形、長野、富山の10県に600店舗以上を展開した。
2017年1月、ローソンとフランチャイズ(FC)契約を結んで全店舗のローソン転換が決まり、今年7月末現在、群馬県内の159店舗だけがセーブオンとして残っていた。8月31日朝に全ての店を閉め、看板を取り外す。多くの店舗は1カ月ほどの改装期間を経て、ローソンに生まれ変わる見通しだ。
コンビニ業界は近年、大手3陣営への集約が進んでいる。ファミリーマートはam/pm、ココストアの買収に続き、サークルKサンクスと経営統合。ローソンはポプラ、スリーエフと資本業務提携を結んだ。セブン―イレブン・ジャパンは今年1月末までに2万店を突破。19年度の沖縄県への出店で「空白県」がなくなるなど、拡大が続く。
セーブオンはベイシアの開発・調達力を生かした48円アイスなどの低価格帯商品や地元産商品、店舗網の再編などの地元密着戦略で生き残りを狙っていた。
しかし、好立地確保や既存店の底上げに限界があり、FC契約に至った。昨年の会見で平田実社長は「業界が寡占化し、人手不足で人件費も高騰している」と語っていた。
現在、県内の5店舗では、群馬名物「焼きまんじゅう」を販売している。群馬県吉岡町の「セーブオン吉岡上野田南店」は前橋市から伊香保温泉へ向かう県道の途中にあり、週末の観光客を中心に売れ行き好調という。
「焼きまんじゅうなど個々の商品については調整中だが、品ぞろえはがらっと変わる可能性が高い」とセーブオンの広報担当者。「35周年を迎えることができ、ご愛顧いただいたことに感謝しています。生まれ変わった後も、地域のお客様に愛されるお店を作っていきます」と話した。(山崎輝史)