20代の若者だけで造る日本酒の銘柄「二才(にさい)の醸(かもし)」が埼玉県と新潟県の酒造を経て、茨城県古河市本町2丁目にある1831年創業の老舗・青木酒造に引き継がれた。技術や経験を積んだ60代で一人前とも言われる職人の世界に、20代が挑戦する。
二才の醸は、2014年に埼玉県幸手市の石井酒造で生まれた。26歳で8代目蔵元を継いだ石井誠社長(31)が、日本酒が同世代に飲まれない現状に「同じ20代が造っているものなら興味を持ってもらえる」と考え造った銘柄だ。青二才から「青」を取り、名づけられた。
「20代だけで造る」を掲げ、16年に新潟市の宝山酒造に銘柄を譲渡。同酒造5代目蔵元の渡辺桂太さんも今年で30歳を迎えたことから、青木酒造が「二才の醸3代目」を引き継いだ。7月29日に東京・原宿で引き継ぎ式があり、石井社長を始め関係者ら約50人が集まり、門出を祝った。
3代目になったのは青木酒造社長の長女で、専務を務める青木知佐さん(28)。看護師として大学病院に勤めていた13年、実家の仕事を手伝うことを決心し退職した。それまで日本酒はあまり飲んでこなかったが、「意外と甘くて飲みやすい酒も多い。若い人が知る機会があればもっと飲んでもらえるのではないか」と感じるようになった。
青木酒造に20代は1人だけ。3代目の打診を受けた時は不安だったが「興味を持たれるきっかけを作りたい」と引き受けた。
二才の醸を造る唯一の条件は「…