国連安全保障理事会が強化した制裁措置の影響で、北朝鮮への人道支援が滞るのを避けるため、安保理の北朝鮮制裁委員会は6日、制裁の適用除外の手続きを明確化した指針を作った。
指針は、除外が認められるのは「北朝鮮の市民の利益」になる支援と強調。支援の中身や受け手、搬入手段や経路、核・ミサイル開発への流用を防ぐ措置など10項目を具体的に示すように定めている。
北朝鮮の核・ミサイル開発に対応する形で制裁は段階的に強化されてきたが、物資の搬入や送金が困難になったことで人道支援にも影響が出ていた。
一方、作成経緯を知る関係者によると、指針には、なし崩し的な適用除外を求める動きを牽制(けんせい)する狙いもある。大ざっぱな適用除外で制裁網が弱まることを懸念した米国が主導した。米国は7月、国際オリンピック委員会(IOC)が求めた、北朝鮮への「スポーツ用品」輸出の除外申請を阻止した経緯がある。安保理は「娯楽用スポーツ用品」をぜいたく品に指定、北朝鮮への輸出を禁じている。
同制裁委の議長国オランダも、今回の措置は人道支援の手続きを簡素化するもので、「制裁の緩和ではない」と強調した。(ニューヨーク=金成隆一)