初盆を迎えた故人を見送る長崎の夏の風物詩「精霊(しょうろう)流し」が15日、長崎県内各地であった。家族らは思い思いに飾り付けた精霊船を引いて、爆竹や鉦(かね)を鳴らしながら街を練り歩き、亡き人に思いをはせた。
特集:核といのちを考える
今年は、やけどした自身の背中の写真を手に核廃絶を訴えながら、昨年8月に88歳で亡くなった長崎原爆被災者協議会の前会長、谷口稜曄(すみてる)さんの精霊船も出た。谷口さんが平和講演などで接した学生たちから贈られた千羽鶴などで、色鮮やかに飾られた。長男の英夫さん(58)は「町内の方に見送ってもらい、父も喜んでいると思う。派手好きでしたから、にぎやかにしないと」と話した。
県警によると、14日までに、道路使用許可が必要な全長2メートル以上の精霊船884隻分の届け出があったという。(田中瞳子)