原爆で約1400人の児童を亡くした長崎市立城山小学校で児童に歌い継がれている曲が今、遠く離れたイタリアの田舎町でじわじわと広がっている。「同じ過ちが繰り返されないように」「平和の意味を考えて」。伝えているのはある夫婦と、思いに共感した地元の人たちだ。 ひらめきの またたく ひまに 声もなく 空しく 散りし 先生よ 子らの み魂よ 4月下旬。イタリア北部のピアチェンツァ県であった集会で子どもたちが優しい歌声を響かせた。曲は城山小で受け継がれる「子(こ)らのみ魂(たま)よ」。日本語の原曲と、イタリア語訳と日本語をまぜた歌詞の2種類を滑らかに歌いあげた。 両親がアルバニアからの移民だという高校生アルバ・ホージャさんは「悲劇の中から城山小が立ち直るのは、大変だったと思う。平和とは、人との違いを恐れないことです」と話した。 歌を伝えているのは、長崎市出身で現地で暮らす豊島文さん(54)と夫のマッシモ・ベルサーニさん(60)。ピアチェンツァ県内の小学校を回り、10年以上前から被爆の実相や城山小の歴史を伝えたり、折り鶴の折り方を教えたりしている。年に60学級ほどを訪れ、今まで教えた児童は1万人以上になるという。 豊島さんは27歳の時、声楽を勉強するためにイタリアへ移住。2000年に結婚したカメラマンのマッシモさんが長崎の原爆に関心を持ったことから、「それまでは肌身で感じていなかった」という原爆と向き合いはじめた。長男の直さん(16)が通う学校で移民の子どもたちについて知り、紛争や平和について考えるようになり、さらに「長崎を思うようになった」という。 「子らのみ魂よ」を最初に伝えたのは15年。イタリアの児童が作った折り鶴を城山小に寄贈したお礼として、同校から曲のDVDをもらった。イタリアに戻って子どもたちに聴かせると、声があがった。「僕たちも歌おう」 以来、「二度と同じ過ちを繰り返さないように」と曲を教えている。「メロディーが親しみやすく、優しく響く歌。日本語の歌詞も子どもたちはすぐ覚えてくれます」と豊島さん。マッシモさんと、イタリア語に意訳した歌詞も作った。 2人の活動は原爆の知識や折り… |
イタリアに響く「子らのみ魂よ」 原爆の過ち、二度と
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