「未来の甲子園」や「未来の公園」「未来の保育園」などのアイデアを議論する特別授業が今夏、N高校横浜キャンパス(横浜市)で開かれた。病気などで日常的な通学が難しい生徒も、自宅などから遠隔操作ロボットを「分身」にして操り、教室でみんなの中をめぐって議論に加わった。
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VR(バーチャルリアリティー)で高校野球観戦、ロボットで吹奏楽や応援――。「甲子園だけでなく、未来のオリンピックやサッカーワールドカップにも活用できるアイデアです」。そう発表したのは、脳脊髄(せきずい)液減少症で連日の通学が難しい埼玉県の森美樹さん(16)らのチーム。小学生の時、体操で頭を強打して以降、頭痛などが激しくなり、何度か手術を受けた。現在は通信制高校のN高校の生徒として大学進学をめざしている。
この特別授業は「未来の○○園」と題し、グループで議論を繰り返すアクティブラーニング型の授業。森さんと長野県在住の男子生徒(16)の2人は、顔が映るモニターと周囲が見渡せるカメラなどを搭載したロボット「ANA AVATAR」を操り、教室内を動かして、約60人の高校生の議論に加わった。
「未来の甲子園」についてVRで観戦する案は複数のチームが提案した。「暑さ対策として空から水をまく」などドローンやロボットを使う意見も多く出た。
「未来の公園」では、3Dプリンターが設置され自分で自由に遊具を作る案や「インスタ映え」する遊具を置くことで親子で楽しめる空間にするなどの提案も。「未来の保育園」では高齢者施設と合体させ、お年寄りと園児の両方がGPS機能があるバンドを付けてあちこちに散歩に出かける案が議論された。
活発に意見を言い、発表者の役目も担った森さん。「自由に動いて同世代の人たちの議論の輪に参加できるのは、映像を見るだけの通信授業とは全く違う。すごく楽しいし刺激になります」
今回はANAの協力による8日間の試行授業。担当者は「アクティブラーニングの授業が増えれば、こうしたロボットがもっといきる。病気や障害で通学できない生徒だけでなく、離島などの生徒が遠い学校の授業を受けるのにも役立てたい」としている。(宮坂麻子)